「困っていることは何ですか?」
「どうなればよいのですか?」
この二言は営業ヒアリングの基本。
物流に限らずどの業界でも使うし、これを訊かない初動はあり得ない。
私も数え切れぬほど使ってきたし、今後も同じだと思う。
もはや日本ではデフレーションという言葉が意味をなさなくなっている。
今後も物価の上昇は起こりえない。
実消費を無視したインフレ・ターゲットのゴリ押しは荒唐無稽。それを知りながらの政策なら、不可避である行く末の挫折を伏せての喧伝なのだろうか。
歴史を丁寧に読み、過去を蔑ろにしない謙虚さを持ち合わせているなら、先人達が辿った因果を踏まえて適応行動するのが当然なはずだ。
物流関連の業界紙や専門誌、専門書の類をほとんど読まない。
その理由に全く悪意はないし偏見もない。
ただ単に「ピンとこない」からだ。
自身が関わってきた荷主企業との遣り取りの根本や本質に合致する内容が非常に少ない。
「実感を持って読めないから」が理由。
企業内の物流部門は名実ともに川下に置かれ、その立場はとても弱い。
というケースばかりではない。
社内的には専横と陰口を叩かれるほど、自部門至上主義を貫いていたりする。
「ここだけの話です」と小声で首を傾げる仕入や営業部門の担当者の顔が何人も浮かぶ。
‘ 建前としては完全内製 ’ の自社物流では珍しくない現象だ。
一般事業会社に多いが、物流部門を営業本部にぶら下げたり商品本部に置く組織構成がある。
営業本部パターンはキーが「顧客」、商品本部なら「商品」になる。
忌憚なく申し上げれば、どちらもお薦めしない。
理由は三つ。
・各本部内で全てが収束し、物流機能の諸課題や改善への計画推進が経営問題とならない。
・潜在的で根本的なエラー原因を抉り出して払拭しきれないことがとても多い。
・なによりも、両本部とも物流の優先順位を上に置けない。
営業倉庫を運営する大多数の物流会社の業務フローは並列化されている。
顧客別にフローが存在し、一見すれば受託業務内容別に設えたようだ。
しかし各業務フローを重ねてみれば、大部分が一致するはず。
重ならないように見える部分の大半はちょっとした加工で統一もしくは二分できる。
検証する場合にはチャート化して重ねてやれば一目瞭然になる。
永田利紀(ながたとしき)
大阪 泉州育ち。
1988年慶應義塾大学卒業
企業の物流業務改善、物流業務研修、セミナー講師などの実績多数。
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